「はい、これにあげるよ。」
「ありがとうアスラン!」
は目をキラキラ輝かせながら、アスランから可愛らしいピンクのリボンがかかった四角い箱を受け取った。
中身が気になったは耳元へ箱を持っていくと、何の躊躇いもなくその箱を上下にガサガサと揺らし始めた。
「あっ!」
すると目の前にいたアスランが慌ててその手を止めた。
「なぁに?」
「一応中、壊れ物だから・・・」
「こわれもの・・・?」
の手を押さえたまま苦笑するアスランが「壊れ物」と言った所でまだ幼いがその言葉を理解できるはずはない。
懲りずにもう一度耳元へ箱を持っていこうとしたらアスランがひどく困った顔をしたので、その手をピタリと止め地面に箱を置くと一生懸命リボンを紐解いてゆっくりフタを開けた。
するとそこには可愛らしいピンク色の丸い球体・・・ボールのようなものが入っていた。
「あ!おニューのボールv」
「・・・ボール・・・」
嬉しそうに箱の中を覗き込むとは対照的にこめかみを押さえて何かに耐えるような仕草を見せるアスラン。
2つ年下の少女にはアスランがマイクロユニットで学んだ事を応用して作った物もただの新しいボールに見えるようだ。
しかし外見だけ見れば確かにただの丸い固まり・・・ボールと言われてもしょうがないかもしれない。
アスランは気を取り直すとの手には少し大きいボールを箱から取り出してそっとの両手の平に乗せた。
「この・・・えっと・・・ボールに何でもいいから声を掛けてごらん。」
「こえ?」
「そう、「おはよう」でも「こんにちは」でもいいから。」
大好きなアスランに笑顔で言われたはボールと高々と掲げ、大きな声で挨拶をした。
「こんにちは!あたし!」
するとその元気な声にも負けないような機械的な声が手の平のボールから返ってきた。
「ハロ!」
「うわぁっっ!」
がボールと信じて疑わなかった物が、自分の手の平から地面に向けて飛び降りたと思うとそのままピョンピョンととアスランの周りを飛び回り、小さな赤い目のようなものがチカチカと点滅を繰り返す。
そして耳のような物が開いたかと思うとそれを羽のように動かして方向を変えていった。
「ハロ、ゲンキ!」
「アッアスラン!!ボールがとんで、おはなししてるよ!?」
驚きの声を上げながらも楽しくてしょうがないといった表情で贈り主であるアスランの方を振り返った。
「前にボールが木に引っかかった時、が言ってたろ?ボールに手足があれば一人で下りてこれるし、お話できれば助けを呼べるのにって・・・」
「じゃぁこのコ・・・アスランがつくったの?」
「そうだよ。」
動き回っていたハロを上から押さえつけるように地面に押しつぶしながらはじっとハロを眺めた。
ハロは体を左右に揺らしながら何か叫んでいる。
「じゃぁこれの?」
「勿論そうだよ。の大好きなピンク色にしたんだからね。」
嬉しさのあまりバンザイをした瞬間、手の中に押さえつけられていたハロが勢い良く飛び出した。
そのままはアスランの足に思い切り抱きついた。
「ありがとうアスラン!すっごくうれしい!!」
両足をしっかり抱えられてしまったアスランは一瞬困った顔をしたがすぐに笑顔になると、少女の頭を優しく撫でた。
「ハロを大切にしてね?」
「うん!!」
「オマエモナ!」
と言うハロの声を聞いてとアスランの二人は吹き出して笑った。
それはもうずいぶん昔のことのように感じられる。
まだ戦争なんてものが起こるずっとずっと前。
ナチュラルもコーディネーターも関係なかった幼いあの日の思い出。
「・・・夢?」
ふと目を開けるとあの頃とは全く違う、温かみなど全く感じられないコンクリートで囲まれた部屋の冷たい天井が目に入った。
アスランがプラントに移住してから暫くして、あたしは家族と共にアスランのお母さんのいるユニウスセブンへ移住した。
そして両親と同じように医療関係に勤めたかったあたしは早く技術が身につけられるよう専門学校へ移り、その寮に入った。
大好きなアスランが怪我をした時すぐに助けてあげられるように・・・あの頃の目標はただそれだけだった。
しかし数年後の『血のバレンタイン』であたしは全てを失ってしまった。
あたしの両親はもとより、アスランのお母さん、親しい友人達・・・そして大好きなアスランに初めて貰った・・・ハロも。
「ミィ?」
「お前も早くアスランに会いたいよね?」
手元に残ったのは、アスランが軍に入隊した直後に手紙と一緒に送ってくれたちょうど手の平に乗るくらいの猫のロボット・・・ミィだけ・・・。
あたしが医療の専門学校に行く事を手紙で知らせたら、ハロだと周りに迷惑がかかるかもしれないと言って人の体温に反応して鳴き声を変える『ミィ』を送ってくれた。
「すぐ・・・側に行くから・・・」
『ミィ』を胸に抱いてまだ見ぬ宇宙(ソラ)にいるアスランのことを想う。
あの頃は守られるだけの幼い子供だった。
でも今は・・・
アスランだけは失いたくない。
あたしに残された最後の・・・
はい、月での捏造話です(笑)
ただラクス嬢よりも先にハロをヒロインにあげたかっただけです(キッパリ)えぇただそれだけ。
でもヒロインの素性明らかになってきたかなぁ?
アスランよりも2歳年下の女の子で、医療系の学校に早くから行っていて、アスランとは手紙のやり取りをしていた・・・。
『血のバレンタイン』で全てを失くしてしまったヒロインの最後の宝物がアスランと言う事で、アスランの為なら何でもします。
だから「死ぬな」と言われれば何が何でも生き残るでしょう。絶対!
当初この子はアスランより3歳年下の予定でした。
でもそれだとあまりにも大人っぽくなってしまうので取り敢えずニコルより年下ならいいか・・・と言う事で2歳下へ変更(笑)
うっわ〜相変らず適当だなぁ。
幼い時のヒロインは物凄くお子サマで、アスランは何故こんなに大人っぽいのか・・・それは・・・ヒミツです(笑)←誤魔化してるだけ。