「キ〜ラv」

「うわぁっ!」

いつものように僕の背中に飛びついてきた女の子。
小さな頃ならまぁしょうがないけど、いい加減自分の年齢考えて欲しいよ。
とは言えアスランがいなくなった今、がこうして甘えるのは僕だけで・・・そう考えるとちょっと嬉しくてあんまり強く言えない。
でも今日こそちゃんと言い聞かせないと・・・絶対アスランが甘やかすからこんなに甘えん坊になったんだよね、は!
僕は背後から首に回されているの手を持つと、気持ち怒った顔で振り向いた。

、いい加減・・・」

「お誕生日おめでとうv」

「自分の年・・・はぁっ?」

首にしっかり絡んでいる手を解くのをピタリと止めて、そのまま怒り顔と疑問顔の中間みたいな変な顔でを凝視した。



誕生日?誰の?



僕のそんな様子を見て、はあれっと言う顔をした。

「・・・キラ、もしかして自分の誕生日・・・忘れちゃったの?」

「え?今日って・・・」

「5月18日、キラの13回目の誕生日だよv」



・・・忘れてた。



最近マイクロユニットの提出物がやたら多くて、もともと苦手な科目だから時間がかかったんだよね。
それで提出が遅れたらその分課題が提出されて・・・今日ようやく全部終わったから日にちなんて気にしてなかったよ。

そっか、だから今朝母さんが早く帰ってきなさいよって言ったんだ。

「キラの家に行ったらキラのお母さんに頼まれたの。キラはもしかしたら誕生日って事忘れてるかもしれないからちゃんキラと一緒に帰ってきてくれる?って」

「子供じゃないんだからちゃんと帰れるのに・・・」

「キラのお母さん、ケーキ焼いてたよ?真っ赤なイチゴいっぱい乗ってたv」

。まさか母さんのケーキにつられたんじゃないよね?」

ピクリと腕に絡み付いていたの手が動いたのを見て、僕は小さくため息をついた。
どうしてこうわかりやすいのかな、は。
アスランに鈍いって言われる僕ですら気付くんだから、きっとアスランにはの考えなんて手に取るように分かるんだろうな。

「ち、違うもん。」

慌てて僕から離れて逃げ出そうとするの手を掴む。

「本当に?」

じぃーっと目を見つめての反応を待つ。
素直なは目を見つめられると嘘がつけない。
仮に目を反らしたりするとそれは嘘って事、ちゃ〜んと知ってるんだから。

「・・・だってケーキ好きなんだもん。」

やっぱりね。が母さんの焼くケーキ凄く好きなのも良く知ってる。
それに嬉しそうに笑ってケーキを食べるの姿って結構好きなんだよね。

「それじゃぁ今日は母さんの言うとおり早く帰ってを喜ばせようかな?」

「え?」

「一緒に祝ってくれるんでしょ?」

「うん!!」

視線を合わせたままの頭にそっと手を置くと、まるで綺麗な花が一気に咲き誇ったかのような笑顔を見せてくれた。



こんなに綺麗な笑顔・・・今まで見たこと無い。



「じゃぁ早く行こうよ、キラ!」

僕の手をぐいぐい引っ張るの手は、昔と同じ小さくて柔らかくて・・・細くて・・・アスランと3人で遊んでいた時と全然変わらないのに、何で僕こんなにドキドキしてるんだ?手を繋ぐなんてアスランがいた時はいつもしてた事じゃないかっ!

「キラ?」

「えっあ、ゴメン。」

「大丈夫、心配しなくても今日はおめでとうプレートちゃんとキラにあげるから♪」

おめでとうプレート?
あぁ『お誕生日おめでとう』って書いてあるチョコレートプレートの事か・・・そんな事に気を取られてたワケじゃ無いんだけど・・・。

「お家に着いたら誕生日プレゼントあげるねv」

・・・から?」

「うん!あたしとアスランから!!だから早く帰ろう!」





この日を境にの存在は僕の中でどんどん大きくなっていって・・・
幼馴染で友達から僕の大切な女の子になるにはそんなに時間はかからなかった。
でも僕がそれに気付いた頃にはもアスラン同様プラントへ移ってしまった後だったんだよね。
この時ばかりは僕も早くプラントへ行きたいって思ったよ。

でもまさか3年後、大切な友達と大切な女の子・・・二人とあんな風に出会う事になるとは夢にも思っていなかった。





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★ Happy Birthday ★

キラ・ヤマト

キラの誕生日を祝いたかった。ただそれだけ(笑)
でもアークエンジェルと接触するのはストーリー上(私の)ムリだったので幼年学校時代にしてみました。
何故キラはヒロインの綺麗な笑顔を見た事なかったか・・・それはその笑顔はいつもアスランに向けられたものだったから(苦笑)
アスランがいないから必然とその笑顔が向けられる確立が増えた=だから思わずドキッとしてしまい思春期真っ只中のキラ君は恋に落ちてしまうのだった(おいおい)
可愛い感じに仕上がって嬉しいな♪
だって・・・現在放映中の彼・・・アスラン同様キツイじゃないですか。