いつものように近づいてくるアスランに合わせて目を閉じて・・・来るべきモノを待っていたのにそれが一向にやって来ない。
恥ずかしながらもゆっくり目を開けると、至近距離で頬を緩めているアスランがいた。

「・・・ア、アスラン?」

「ん?」

何もなかったように視線を合わせてくるアスランになんと言えばいいのか分からず、一瞬躊躇ってから小首を傾げて尋ねた。

「どうしたの?」

「何が?」



・・・聞いてるのはあたしなんだけどな。



少しとぼけた婚約者でもあり幼馴染の言動に苦笑しつつ、至近距離が照れくさかったので一歩下がろうとしたけれど腰にしっかり回されている手がそれを許してくれない。
仕方なく今度は両手でアスランの胸を押し返そうとするが、ビクともしない。

また何か考え事でもしてるんだろうか。
でもそれなら視線が宙を彷徨うはずだが、彼の視線はしっかり自分に向けられている。

「〜〜〜アスラン!

「何?」

「何?じゃなくて・・・その・・・」

「うん。」

「あの・・・ね・・・」

「?」



・・・本気で惚けてるのか、それとも故意に惚けてるのか分かんない。
言いたくても言えないもどかしさから、唇を噛み締めてそっぽを向く。



――― キス、しないの?なんてあたしから聞ける訳ない。



「・・・〜〜〜っ何でもない!

「じゃぁキス、しようか。」

「え?」

驚いて前を向いた瞬間そのままアスランの唇が降りてきて唇に触れた、と思うとすぐに離れた。
突然の事に何も言えず、ただただ目の前のアスランを見つめる。

「・・・」

「待たせた?」

微笑しながら目を細めるアスランは、幼い頃の悪戯に成功して笑うキラに少し似ていた。
かぁ〜っと赤くなった頬を手で隠しながら、今度は思いっきりアスランの名前を呼ぶ。

「アスラン!」

「何?」

確信犯のような笑みを浮かべながらぎゅっと抱きしめられ、暫く腕の中でもがいてみたけれど、そっと耳元に囁かれたアスランの声が・・・あたしの動きを止めた。










――― 目を閉じたが可愛くて、見惚れてた



それはキスする3秒前の出来事。





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1. キスする3秒前

とにかく、DESTINYのアスランで何か書きたかった!
本編で大変そうなので、とにかく幸せそうな話を・・・と思ったら、何でこんな事に(汗)
SEEDのアスランでは到底出来ないバカップル話が書けて満足です(笑)←開き直った。
何個かあるお題のうち、頭にふっとシーンが浮かんだ物を選んで書きました。
5の倍数、と言う制約があるので余った話はまたちょっと変えてどこかで使おうと思ってます。
短い話なので、時間がかからず手にも負担がかからないw(30分かかってないもんなぁ(苦笑))

内容が甘くてコメントしにくいです(苦笑)
・・・えーっと、アスランがキスの直前に動きを止めて彼女の顔を見ている、と言う場面だけ頭に浮かんで書いた話です(それだけかよっ!)