「ん・・・」
軽く触れては離れるだけの、優しいキス。
アスランの腕に抱かれながら、見上げると視界に入るのは穏やかな笑みを浮かべた鳶色の瞳。
「・・・足りない?」
「・・・うん。」
小さく頷けばアスランが口元を緩めて、もう一度キスをくれる。
誰よりも優しい、世界で一番甘く優しい・・・キス。
アスランの膝の上で横抱きに抱えられながら、デスクに置いてあるドリンクに手を伸ばしたアスランに声をかける。
「アスランのキスは優しいね。」
「そうかな。」
「うん・・・優しい。」
「相手がだからじゃないかな。」
ひと口ドリンクを飲むと、飲み口をこちらに向けてくれた。
小さく首を振って遠慮すると、それをデスクに戻して空いたその手で髪を撫でてくれる。
「優しいキスは好きじゃない?」
「ううん。でも・・・」
「でも?」
不思議そうにまっすぐあたしの目を見つめるアスランを見ていたら、言おうと思った事が上手く言えなくなった。
「・・・何でもない。」
――― 言えなくなった、じゃなくて恥ずかしくなった。
「気になるだろ、途中で止めるな。」
「ダメ〜、内緒!」
「じゃぁ直接聞こうか?」
「え?」
驚いているあたしの顎にアスランの指がかけられて、強引に顔を固定される。
「・・・何を言いかけたんだ?」
「うぅ・・・」
「ほら、?」
普段は瞳を閉じる距離なのに、アスランの瞳はしっかりあたしを見ていて、あたしもそんなアスランの瞳にひきつけられるかのようにして閉じられない。
何度もキスをしているのに、未だあたしはアスランとの行為に・・・慣れない。
アスランの吐息が唇にかかりそうになった瞬間、あたしはさっき飲み込んだ台詞をアスランにだけ聞こえるように囁いた。
「・・・え?」
「そう言う事。」
驚き顔で動きを止めたアスランの襟を両手で掴んで、今度はあたしがアスランを自分の方へ引き寄せてキスをした。
そしてそのまま両手を首に回して僅かに顔をずらすと、今度はアスランの為にその言葉を囁いた。
――― 愛してる
『優しいキスは好きじゃない?』
『ううん。でも・・・
愛してるの言葉と一緒だと、もっと優しく感じるね』
4. やさしいキスをして
・・・コ、コメント控えてもいいですか?(苦笑)
と言うか、本音を呟けばこれを書いている時、何を考えていたか分かりません!