09.イタズラなキス
「なぁもう一回!」
「しょうがないわねぇ・・・」
がそう呟くと右手を開いてその中のコインを見せた。
それから素早く左右の手を動かして、拳を俺の前に差し出す。
今度は絶対間違えねぇからな・・・
「右!!」
「左。」
そう言うとが両手を同時に開いた。
右手には何もなく、左手には一枚のコイン。
「あーっっチクショウ!また負けかよっ!」
「デュオって本当に素直ねぇ。」
「何がだよ!」
クスクス笑いながらがもう一度左手のコインを俺に見せて、両手を入れ替えるように動かした。
けれど今度は今まで以上にゆっくりしたスピードで、いくらなんでもこれで間違うわけねぇだろ?
「・・・右、だろ?」
「両手。」
「はぁ!?」
これでもかってくらい楽しそうに笑いながら両手を開いたの手の中には・・・コイン。
「はぁ!?」
「あははっ・・・もぉダメ!!デュオってば、これくらいの手品気付くと思ったのに・・・」
「・・・またかよっ!」
は一時期手品を習ってたらしくて、こういった小さな手品でちょこちょここの俺をからかうんだよなぁ。
「嘘はつかないんだろ?」
「嘘じゃないわよ、これはれっきとした技だもの。」
「そう言われちゃ敵わねぇや。」
けど、何か悔しいよなぁ・・・胸に渦巻くスッキリしない気持ちを落ち着かせようと、不意に空を見上げた。
「・・・あ?」
「どうしたのデュオ?」
「なぁ、・・・あれ・・・」
「どれ?」
空を指差す俺の隣に立ったが、同じように空を見上げる。
「あそこのさ・・・」
「どこ?」
無防備に空を見上げたを横目で確認した瞬間、音を立ててその頬にキスをした。
「へへっゴチソーサン♪」
「ちょっ・・・デュオ!?」
「さぁ〜って、今日の仕事は何でしたっけ?」
「デュオ!嘘はつかないんじゃなかったの!!」
頬を押さえて顔を真っ赤にしているに、太陽にも負けねぇくらいの笑顔でお決まりとも言える台詞を言ってやった。
「デュオ・マックスウェル!逃げも隠れもするが、嘘はつかない。俺、が好きだぜ!」
「!?」
「だーから、キスしたんだよ。」
「人目くらい気にしてよっ!!」
「おーっ怖っ♪」
片手を振り上げて追いかけてくるから逃げる。
けどさ、そんな真っ赤な顔したままじゃ威力半減。
怒られるっつーよりは・・・好きで追いかけられてるってカンジだよな?
なぁ ――― ・キーフィス