「おい、お前。俺の所に来い。」
突然だった。
なんの前触れも無くその人物は私の目の前にいた。
人の気配など全く感じられず、その人は踏ん反り返ったまま側にあった椅子に座った。
すごい美人なのに口が悪い…それが最初の印象。
「聞こえてんのか?俺の館に今日から来い。」
「突然現れて何?何でそんな所行かなきゃ行けないの?一体貴方自分を何様だと思ってるの?」
椅子に座った人物は慌てるでもなく、むしろ誇らしげに答えた。
「俺様だ。」
二の句が告げられないと言うのはまさにこの事だ。
「…お生憎様。私には明日行かなきゃいけない所があるの!他人の貴方に何を言われても…行かないわ。」
そう、コレは決して逃げられない。
私だけの問題じゃないから…。
それを知っての事か、その人は鼻で笑った。
「はっ、死にに行くのか?」
「…そうね。そうかもしれない。」
「ラクな選択だな。」
椅子から立ちあがり、私の顎を掴み視線を合わせる。
何もかもを知っているような瞳で…。
「俺はお前を見ていた。お前は殺すには惜しい人間と判断した。…来い。悪い様にはせん。」
「信用…しろと?」
「あぁ。少なくとも俗物まみれの人間どもよりは信用できるぜ。」
不適な笑顔に私の肩の力がゆっくり抜けていくのが分かった。
このままここに居れば明日には家同士の繋がりを強める為だけの見合いが行われる。
そして私は見知らぬ他人のモノ…感情のない人形となる。
それならばいっその事この美人に着いて行っても…いいか。
「信用…してないけど…いいわ、私が必要なのでしょう?」
「あぁ、お前とお前自身…がな。」
「はっきりしないのね。」
「そうでもないぜ…華耀。」
その夜、この家の娘が1羽の鳥の背に乗り姿を消した。
人々は華耀のあまりの美しさに神が迎えに来たのだろうと噂した。
家人が血眼になってその行方を探したが、ついに華耀の姿は何処にも見つからなかった。
「ところで貴方…女性…なの?」
「あ?俺は両性体なんだ。」
「ふーんどうりで男っぽいと思った。」
「…言うじゃねーか。」
「まぁね♪」
観世音菩薩が人の生において初めて目をかけた女性
そう、それは…何処にでも普通にいる女
ただ…地上の人間と言う事を除けば…
初!観世音菩薩ちゃんドリ(笑)
っていうか名前変換ないじゃん!ドリームじゃないじゃん!!
…その意味は次を読めば分かります。
さ、ずずいっと次に進んでください。