「様?様?」
「ん、ん〜・・・」
「うふふっ・・・お時間、大丈夫ですの?」
「・・・じかん、時間・・・!!」
大きな目を開けて周りをキョロキョロ見回す様は、まだ自分が何処にいるのか分かっておられないご様子で目を白黒させていました。長椅子へ横たわっていらっしゃる様を落ち着かせるべく頭を撫でながら、私は簡単に現在の状況をご説明しました。
「ここは私の部屋です。様は外出していた私を待っている間にテラスで熟睡されてしまいましたの。あのままだと風邪をひいてしまわれると思ってこちらへお連れしたんですわ。」
「ね、寝てた!?」
「えぇ、とても気持ち良さそうにぐっすりお休みになられていましたわ。」
「ぐ、ぐっすり・・・」
あらあら?様どうなさったのかしら・・・頭を抱えてしまわれましたけど、具合でも悪いのでしょうか?
でも様はお医者様ですから、具合が悪いのでしたら私よりも分かりますわよね?
それでは一体どうなさったんでしょう・・・。
首を捻っていると、様の小さな声が聞こえてきました。
「えっと・・・ごめんなさい。」
「え?」
「待ってるつもりが寝ちゃって・・・」
顔を真っ赤にして自分の手をじっと見つめる様の手に私の手を重ね、じっとその目を見ました。
私の大好きな、大好きな青空のような瞳
「私がお待たせしてしまったのが悪いんですもの。様が謝る事はありませんわ?」
「でも・・・」
まだ何か言いたげな様の口に指を当てて、その言葉を封じました。
「謝る言葉はもう終わりに致しましょう。久し振りにお会いできたんですから・・・」
様が軍へ入る前はいつでも好きな時にお話出来たのに、今では様も私も忙しくなってしまってそんな時間が中々取れなくなってしまいました。ですから、今は謝罪の言葉より・・・少しでも長くお話しましょう。
そんな私の思いを察してくれたのか様は小さくため息をついた後、いつものように私の大好きな笑顔で頷いてくださいました。
暫く何気ない話をした後、不意に投げかけた言葉に様が反応されました。
「そう言えば様が連絡無しにいらっしゃるなんて初めてじゃありませんこと?」
「あーっ!!そうだ!ラクス、あたしの荷物何処にある?」
「お荷物はあちらに全て運ばせましたが・・・」
私が最後まで言葉を紡ぐより早く、様は荷物の方へ駆け出していかれました。
そして沢山ある紙袋の山から何か取り出すと、それを後ろ手に隠しながら私の所へ戻ってこられました。
「様?」
「ラクス!お誕生日おめでとう!!」
今日、何度も出先で聞いた言葉と共に様が小さな花束を私の前に差し出されました。
「・・・え?」
「どうしても今日ラクスにお誕生日プレゼントを渡したくて、仕事終わってすぐ来ちゃったんだ。」
「まぁ・・・様・・・」
「この花束はアスランから。アスランがどうしてもこれがいいって言うから何件か探してようやく見つけたの!」
様の笑顔と共に渡された花束は、この間アスランと共に庭で見た白い薔薇の花束。
『私、この花が可愛らしくて大好きですの』
『そうですか・・・』
何気なく言った言葉をアスランが覚えていて下さった事が嬉しくて、思わず目が潤んでしまいました。
そしてそれを受けて一生懸命この花を探してくれた様の思いもとても、とても嬉しくて・・・今この手に花束がなければ飛びついてしまいたいくらい嬉しいですわ。
「ありがとうございます、様。アスランにもあとでお礼を言わなければいけませんわね。」
「喜んで貰えて良かったvえーっとそれと、あそこの紙袋はザフトの有志からラクスへのお誕生日カードやプレゼントの山です。」
「え?」
「あたしがラクスの所へ行くのが何処から洩れたのか分からないんだけど・・・出掛けに頼まれたんです。」
「まぁ・・・」
「皆いい人ばかりなので・・・受け取ってあげて下さい。」
そんな風に頼まれてしまうのも様の人柄なんでしょうね。
「分かりましたわ。皆様にありがとうございますとお伝えください。」
「うん!」
今まで祝っていただいたお誕生日で、今日が一番嬉しいですわ。
大好きな様がこうして尋ねて下さって、お祝いの言葉を下さった・・・これ以上の幸せはきっとないですわね。
そう思っていた私の前に、様が小さな包み紙を差し出されました。
「・・・これはなんですの?」
「えっと・・・これはあたしからラクスに、プレゼント。」
「様が?」
震える手で小さな白い包み紙を受け取り、そっとピンクのシールを剥がして中身を取り出す。
そこから出てきたのは・・・私の大好きな空を映したような鮮やかなブルーのリボン。
「いっぱいいっぱい考えたの。ラクスが欲しい物何かなって!でもあたしのお給料は少ないし、高い物買えないし・・・でもこの間出掛けた時、このリボン見つけて・・・すっごく綺麗だったから、ラクスの髪に合うかなぁって思ってそれで・・・」
「・・・・・・!」
「わぁっ!!」
気付けば私は腕に持っていた花束と共に様に飛びついていました。
大好きなお友達、大切なお友達・・・ただ一人の、親友。
その貴女が、こんな素敵なプレゼントをくれるなんて思ってもいなくて・・・。
嬉しくて声が出ないって・・・きっとこの事なんですのね。
「ありがとうございます!様!私、宝物にしますわ!!」
「いや、その・・・そんなに高価な物じゃないので遠慮なく使ってもらった方が・・・」
「いいえ!大好きな様が下さった物ですもの、宝物ですわ!!」
それから様のお迎えの車が来るまで、私と様の攻防は続きました。
結果・・・いつか大切な時に使う、と言う事で私が勝利いたしました。
大好きな様から貰ったリボン。
・・・まさか、これをアスランと最後のお話をする時に使う事になるとはこの時は思ってもいませんでした。
ラクスお誕生日おめでとうv話・・・一日遅れたけど(苦笑)
なんで、どうしてこんなに私ってばラクスが好きなんでしょう(笑)
思わず勢いに乗って病み上がりのクセしてこんな話書いちゃいましたよ。
ちょぉ〜っとおかしなトコあるし、文章も何時にもまして意味不明ですが・・・ラクスが楽しんでる雰囲気が伝われば嬉しいですv
ヒロインがラクスにプレゼントしたリボンは・・・ラストに本人が言っている通り、青いドレスの時二つに分けた髪に結んでるリボンです。
本当はエターナルの時の髪に結ぶゴムにしようと思ったんですが、どのイラスト見ても編みこんでるように見えてゴムが見えないんですもん(TT)
だから急遽あの青いドレスのリボンに変更しちゃいました。
本当は書ければラクスがどうしてヒロインをこんなに大切にしてるかって話もオマケにつけたかったのに・・・頭が働かなかった(TT)
くっそぉー頭の中にまだ風邪ウィルスがいるのか!?(いや、それなら年中いるだろう(笑))
一日遅れたけど、ラクスのお誕生日をお祝いいたします♪
W記念宴会場にてUPしていたオマケ話があります。
興味のある方は上のケーキをクリックしてくださいw