21.手触り
『なぁ、手・・・繋いでいいか?』
初めて手を繋いだのは・・・公園を散歩している時。
「・・・もしもぉ〜し?」
男の人と手を繋いだのなんて、小さな頃くらいしか覚えのないあたしはただただ顔を赤くするだけだった。
そんなあたしの気を紛らわせるかのように、悟浄さんは手を大きく開くとあたしの手と大きさを比べ始めた。
『ちっちぇー・・・握ったら壊れちまいそうだな。』
悟浄さんの手はあたしよりも関節ひとつ分くらい大きくて、ギュッと握ればその手の中にすっぽり包まれてしまいそうだった。
「!!」
「はいっ!?」
ハッと我に返って声のする方を見ると・・・片手をあたしに握られたまま、コーヒーのミルクが入れられずに困った顔をしている同僚の光がいた。
しまった・・・今は昼の休憩時間で、隣にいるのは悟浄さんじゃない。
「・・・私の手でいいならいっくらでも貸したげるから、取り敢えずミルク入れさせて。」
「うわぁっゴメン!!」
慌てて手を離して頭を下げる。折角温かいコーヒー買ったのにぬるくなってないかな?
そんな風に心配するあたしを余所に、光はニヤニヤ笑いながらコーヒーにミルクを入れてあたしの手をぎゅっと掴んだ。
「それで、なんで急に人の手握り締めたの?」
「別に・・・」
言えない、悟浄さんの手と光の手の違いを考えてたなんて・・・言ったら光、絶対笑うもん!
「愛しの悟浄さんとは違うでしょ。」
「ぶっっ!!」
ど、どうしてあたしの考えてる事が分かったの!?
口元をハンカチで拭いながら光の顔を見ると・・・それはもう楽しそうに声を殺して笑っていた。
ただ肩が思いっきり揺れてるから、声を殺す意味ないんだけどね。
「あはははっ図星?」
「・・・ん。」
「あーもう本当には可愛い!」
ぐしゃぐしゃと髪を撫で回して、ひとしきり笑うとようやく光が落ち着いたので改めて尋ねてみた。一応彼氏がいるから一度は同じコト考えたかもしれないもんね。
「・・・男の人と女の人の手ってどうしてこんなに違うのかな。」
「そりゃ守る者と守られる者の違いじゃない?」
「そうなの・・・?」
「男の人は女の人を、家族を、色んな物を守らなきゃいけないから手が大きいんだよ。」
「・・・ふーん。」
そういうものかな。
でもそしたら男の人は誰に守ってもらうんだろう?
じぃーっと自分の手を見ながら考えている間も、光の『何故男の人の手は大きいのか』という議題は続いていた。
初めて触れた悟浄さんの手は、とってもとっても大きくて・・・ちょっと骨ばっていた。
触れるとゴツゴツしてるかなって思ったけど意外に柔らかくてビックリした。
そしてあたしの手を、まるでガラス細工にでも触れるかのように優しく包み込んでくれた。
光の言うように男の人の手が女の人を守る為にあるのなら
あたしは一体何で悟浄さんを守る事が出来るんだろう?
この柔らかくて小さい、子供のような手で・・・