チャン!大丈夫か?」

悟浄の問い掛けには鏡の中で何度も何度も頷く。

!へーき?腹減ってない?」

悟空の問いには指で少しの隙間を作り、もう片方の手でお腹を押さえ少しお腹が空いていると言うしぐさを見せる。

「・・・何がいけねぇんだ。」

鏡の横に手をついてじっと鏡を覗き込む三蔵を、は心配そうに見ている。

・・・随分可愛らしい目になってしまいましたね?」

僕の声が聞こえている証拠・・・は慌てた様子で、顔を両手で隠してしまった。
いつものらしいその仕草の合間に・・・僕らは見てしまった。



手の隙間から溢れてきた涙を・・・。



それに気付いたが慌てて後ろを向いて手で涙を拭う仕草をする。
そしてすぐに此方を向いてにっこり笑うその笑顔には何処か無理があって・・・。

「チクショウ!どうすりゃいいんだよ!」

「なぁ三蔵!お経唱えたりしたらどうにかなんねぇの!?」

「そんなもんお前らが踊ってる時にとっくにやった!」

それは鏡の中にを見つけた時、悟浄と悟空が手を取って踊っていた時・・・だろうか。



しかし今はその時の喜びの欠片も無く、悟浄は拳を床にぶつけ、悟空は三蔵の法衣の裾をぎゅっと握って口元をかみ締めている。
三蔵は時折口を動かして何か呟いているが、それが意味の無いものだと分かると再び口を閉ざしてしまった。
僕はと言えばさっきから鏡の中のをじっと見つめているだけ・・・何かしようと思うより、の姿がここにある事に安堵してしまっているようですね。
鏡の中のはいつものようにおろおろしながら床に拳をぶつけた悟浄を見ては痛そうな顔をして、泣きそうな悟空を見てはつられる様に目を潤ませて・・・そして三蔵が時折経を唱えているのを見て、ひどく感心したような顔をしていて・・・。

そして僕と目が合うと、は一生懸命笑顔を作って笑ってくれる。
鏡に映っている僕は・・・の目に映っている僕はどんな風にみえているんでしょうね。










僕はやけに重く感じる体を起こして鏡に近づくと、今まで誰が触れても何の変化も無かった鏡にそっと手を置く。
鏡の中のが首を傾げて僕を見上げた。
おかしいですね、いつも見ている筈のその表情が今はやけに遠く感じる。

「・・・?」

名前を呼んでもの声は返って来ない。

「僕を信じて下さい。必ずを助け出しますから・・・」

そう言ってが安心できるよう、にっこり微笑んだ。
すると鏡の中のが泣きながら僕の手に自分の手を合わせた。

「・・・!!」
「八戒、手!!」

僕が驚くと同時に悟空の声が上がった。





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