「くしゅん!・・・あれ、ここ何処?」

肌寒さを感じてクシャミをすると同時に目を開けた。
そこは現実の世界ではない、でも桃源郷のさっきまで休んでいたベッドの上でもない。
ただ真っ暗な部屋の中に一人立っている。
寝る前には窓の外に月が出ていたはずなのに、今は雲に隠れてしまっているのか全然見えない。

「・・・おかしいなぁ、いつの間にこんな所に来ちゃったんだろう?」

ギシッ、ギシッと床の軋む音を立てながら手探りで前に進んでいく。

「真っ暗だと余計な事考えちゃってやだなぁ・・・ついさっきあんな話聞いたばっかだし・・・」



「あんな話って?」



「ん?姿見に姿を映した女の・・・人・・・が・・・」

思わず勢い良く後ろを振り返る。



誰も・・・いないよ・・・ね?
あたしの気のせい?



真っ暗な部屋で目を凝らしても何も見えないけど、それでも何か見えないかと周りを見渡してみた。
その時偶然雲間から月の光が差し込んで、一瞬部屋の中が明るくなった。



大きな仏像とその周りに置かれている仏具・・・そしてその隣にはあたしの姿が映し出された大きな鏡。










再び月が雲に隠れ、部屋はさっきと同じ暗闇に閉ざされてしまった。
あたしの体は今、嫌な汗でいっぱいだ。
頭の中では寝る前に三蔵が話していた話がさっきからずっと繰り返されている。



その姿身に姿を映した女性の体にある異変が起きはじめた。



どんな鏡とは言ってなかった。



姿身に姿を映した女性は、突然妙な行動に出るようになった。



それがいつからとも・・・言っていなかった。



「ち、違うよね・・・これは単なる鏡、だよね?」

誰に言うでもない、まるで自分に言い聞かせるように呟くと体を反転させ取り敢えずこの部屋を出ようと駆け出した。





「ダメよ。待っていたんだから・・・」





あたしの声よりもちょっと高い・・・女の人の声が耳元に聞こえた瞬間、足元が急に無くなって何処か深い所へ落ちる感覚に囚われた。

「きゃあぁ――――!!!!」

あたしの体はまるでウサギを追って穴に落ちてしまったアリスのように、ずっとずっと落ち続けた。
その周りの景色はただただ暗いだけで、上も下も無いように感じた。





これは夢なのか現実なのか・・・あたしは今何処にいるのか、それさえも分からなくなってしまった。





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あはははっ!出てきましたよ、お化け(笑)
前回を読んだ人は多分予想していたんじゃないでしょうか。
予想通りの展開になりますよ〜考えているのが単純な私ですから、捻り無いです(少しは捻れよ!)
これ書いてたのは夜なんですけど、書いてる途中背筋が寒かった!
※風見は怖いモノ(映画も本もテレビも)全般苦手です。見る読むとしたら大抵昼間!
えっと短くてスミマセン(TT)
この次とくっつけようとしたんですが・・・引っ張ってみました(おいっ)
次回もちょっと怖い・・・かな?いや、コレが一番寒いだろう・・・きっと(あやふやだ)