「お目覚めになられましたか?」
「ごめんなさい、何だか寝坊しちゃったみたいで・・・」
「いいえ。お疲れになっているでしょうから、ゆっくりして頂こうと神子様とお話して決めましたの。少しはお休みになられましたか?」
心配そうな顔をした藤姫を安心させようと、笑顔で頷く。
「おかげ様で、ゆっくり出来ました。」
「それは良かったですわ。」
やっぱり藤姫、こうして笑ってる顔見ると幼いイメージがあるな。
最初に会った時は凄くしっかりしてて、あたしの方が落ち着き無く見えたもん。
「足のお加減は如何ですか?」
「だいぶいいよ。痛みも少しひいたし・・・」
「何かありましたら遠慮なく仰って下さいませね?」
――― いえ、もう、充分です。
藤姫に面倒をかけてると思うとどうも気が引ける。
いくらしっかりしているとは言え・・・実際年齢は10歳。
どうしても頼るに頼れない、というのが本音。
「藤姫、ここか?」
その時、部屋の前から男の人の声が聞こえた。
「はい、私はここに・・・」
「神子が呼んでいる。」
この、感情のこもらない声は・・・もしかして、もしかしなくても泰明さん?
音もなく部屋に入ってきたのは、首から黄色い数珠を提げた・・・稀代の陰陽師が作り出した、安倍泰明さんだった。
「まぁ、何事でしょう?」
「わからぬ・・・が、急を要していたようだ。」
「まぁまぁ・・・ではお騒がせしてしまいましたが、これで失礼いたします。」
「あ、うん。」
またね、と言いそうになってその言葉を飲み込んだ。
藤姫にどういう態度とっていいのかイマイチ分かんないや。
苦笑いとも取れる笑みを浮かべながら藤姫が部屋から出て行くのを見送る。
・・・そして側に立っている泰明さんにチラリと視線を向けた。
泰明さんって・・・細くて、背が高い。
っていうか、ここの世界の人って何気に皆背が高くてスタイルいいよね。
一体何を食べてるんだろう・・・って、そんなのこれから聞けばいい事、か。
それに泰明さんって・・・すっごく綺麗。
髪も凄く長いのに艶々してて全然絡まってない・・・あれ、そう言えば泰明さんの髪ってどうやってまとめてるんだろう?
「・・・娘」
「はっはいぃっ!」
「手を離せ、動けぬ。」
「え゛!?」
泰明さんが示す方向へ視線を向ければ、いつの間にかあたしは泰明さんの衣の裾をしっかり掴んでいた。
「うわっご、ごめんなさい!」
「構わぬ・・・だが、私はもう行かねばならん。」
「本当にすみませんっっ!」
とにかく謝らなきゃ気がすまない。
もうどうしてあたしってば考え事してるうちに妙な行動しちゃうんだろう!
これでもかって程頭を下げると、頭上から小さなため息と共に良く聞く台詞が聞こえてきた。
「・・・問題ない。」
――― おおっ、生 『問題ない』 だ。
ゲームで散々聞いた台詞だけど、こうして直に聞くと何だか感慨深い。
感動してじーっと泰明さんの顔を眺めていたら・・・表情も変えずにそのまま部屋を出て行ってしまった。
「・・・あれは、呆れられたのか?それともヘンな人と思われたのか?」
どっちにしろ、泰明さんにおかしな事をやってしまった事実に変わりはない。
「もう少し藤姫を見習って落ち着こう。」
そう心に決め、藤姫と泰明さんが出て行った部屋で、ごろりと床に寝転がる。
「・・・成せば成る、成さねば成らぬ・・・か。」
そう言えば、あと会ってない八葉は・・・誰と誰だっけ?
泰明さんの登場です★
目の前で「問題ない」と言われたら、思わず感動してしまう気がするのは私だけでしょうか?
やっぱり泰明さんと言えばその台詞が一番に思い浮かんだので使ってみました♪
・・・んで、結局何しに来たの?と言われると、ただ藤姫を呼びに来たとしか言えないんですよね(苦笑)
うわぁ〜泰明さん、パシリ!?(汗)
思いつくままに書いているので、あと誰と誰を書いていないのかこの辺で分からなくなりました(笑)
大丈夫!今はちゃんと分かってますから!
残りあと2人・・・が、頑張りますっ!!