「おーら、笹見つけて来たぜ。」

「結構おっきいねぇ〜・・・」

「でかい方が派手でいいだろ?」

悟浄が鼻歌を歌いながら担いで帰って来た笹をとりあえず庭先に置いた。
緑の葉が風に揺れてさわさわと音を立てる。
皆で何となくそれを眺めていると、八戒がポンッと手を叩いてこう言った。

「折角ですから飾り、作りましょうか。」










「何で俺が・・・」

「文句ならアイツに言えよ。」

悟浄と三蔵は二人並んで煙草を吸いながら、八戒が用意したはさみで黙々と輪飾り用の紙を切っている。

「何だってオレがこんなお子様な行事に付き合わなきゃなんねェンだ?」

「元凶を持ってきたヤツの言う台詞じゃねぇな。」

「・・・一回アイツに笑顔でお願いされてみろ、ぜってー断れねェから。」

「どうしたんですかお二人とも。手が止まってますよ?」

「・・・」

「悟空が一生懸命輪飾りを作ってくれてますからね。頑張らないと追い越されちゃいますよ?」

にっこりとこれ以上ないくらい綺麗な笑みを浮かべた男は、新しい色紙を不機嫌そうな男達の前に置いた。

「頑張って下さいね。」

そう言うと床に座って色々飾りを作っていると悟空の元へ戻って行った。

「・・・断れるか?」

「ちっ・・・」

三蔵は短くなった煙草を灰皿に押し付けると、新しい煙草を取り出して口にくわえ・・・無言で手を動かし始めた。





「八戒、八戒!すげーんだぜ!こんなの作ってくれた!」

八戒が二人の元へ戻ると悟空が目をキラキラさせてひとつの飾りを差し出した。

「お星様ですね。」

「うん、切り方忘れてちょっと失敗作も多いけど・・・」

苦笑するの背後には失敗作と思われる色紙が数枚散らばっていた。

「一枚の紙で星を作るなんて凄いですね。」

悟空から受け取った色紙で作られた星をマジマジと見つめながら八戒がそう言うと、製作者であるが驚いたように手を振った。

「そんな事ないよ!だってただ折って、こーはさみ入れただけだよ?」

八戒に教えるように手際よく色紙を折ると、その一箇所をはさみで切り落として広げる。
すると八戒が持っている物と同じ星がもうひとつの手に現れた。

「でもが作ったのには変わりないじゃないですか。ね、悟空。」

「うん!すげーっ!」

誰よりも爽やかな笑顔を持つ男と、誰よりも嬉しそうに笑う少年の笑顔を受けてもつられる様に愛らしい笑みを浮かべた。

「・・・ありがと。」





その後も皆で色々な飾りを作って、文句を言う三蔵も庭に連れて行って・・・皆で笹を飾った。

「おーっ壮観♪」

「すっげーっ!すっげーっ!!」

「綺麗だね!」

「・・・ちょっと飾り、多すぎましたかね。」

「調子に乗るからだろう。」

調子に乗って思いつく限りの飾りを作って笹にぶら下げた所為か、その重みで微妙に笹が垂れ下がっている。



でもその沢山ある飾りの中でも、目を引くのは・・・

三蔵と悟浄が切った色紙で、悟空が繋げていった輪飾り
が丁寧に作ってくれた色とりどりの星飾り
そして、八戒が皆の願いが届くようにと願いを込めて糸を通した短冊







さてさて、皆の願いが込められた笹の葉が揺れる七夕の天気は・・・どうなるかな?

当日の貴女の地域の天気でも、好きな天気でも何でもいいのでお選び下さい
晴れ 曇り